【お父ちゃんＣｏｍｅＢａｃｋ！！ 第３話】
−第３話−
「父さん・・・。一体どこに・・・。」
俺は俺を捨てて旅に出た父に不満を抱きつつ、夜のベイブリッジの下をクロールで泳いでいた。
昔から父はロマンを追い求める男だった。
俺もそんな親父の少年っぽい所が好きだった。そんな父が行きそうな所・・・。
そうだ！東だ！！
昔、親父が幼い頃、親父の両親が包丁を持って犬も喰わんという夫婦ゲンカをしているのを止めようと、小瓶に手紙を入れて川に流したという話を聞いたことがある。そして１０年後、勇者が現れ悪の大王を倒し、味噌汁を飲んで帰ったというのだ。
―――ブヒィ―――、ブヒィ―――、―――――
おっといかん、俺のＰＨＳ（時代を感じさせる・・・）「奈倉 平衛門」が鳴っている。俺はクロールから平泳ぎに変えてデンワに出た。
「ぐわばぶぐっ。ごぼっちらざばくらびぃばばぶっずぐっ。」
俺は泳ぎながら電話に出た。ずいぶん川の水を飲んだが、スポーツには水分補給が必要だから丁度良いに決まっている。
「こんばんは、桜木真人君だね？僕だよ、この前公園で君にお父さんのことを聞いた・・・。あ、名前言ってなかったっけか？眼鏡をした男なんだが・・・」
「あば、がびゃばだひゃばべずべ？」
「そう。よく分かったねぇ。覚えていてくれていたんだね。実は今日はお父さんのことじゃなくて聞きたいことがあったんだ・・・。」
「なばべぇびょーん？」
「これから悪いんだがランドマークタワーの所まで来てくれ。」
「ばばびぼぶぐっ。うぶぎびがぶ。」
俺は電話を切り、岸へ上がって急いで愛馬「ラッキーフローレンス島津」を走らせた。
街の視線が俺に集まる。こんなに人に注目されたことが今まであっただろうか？こんなこと、中学校の美術で「おもし
ろい顔」のスケッチのモデルになった時くらいだ！！気分がいい！これで鬼ごろしと裂きイカさえあればもう文句はない。満足した。
よし帰ろう。
ハハハ。帰ったら結婚式だ（機動戦士ガンダム ウッディー大尉の台詞参照）。
ハハハ。何か忘れてるぞ。
ハハハ。そうか、嫁がいないのか。こりゃーうっかりだ（水戸黄門 うっかり八兵衛の台詞参照）。
え？他に？ああ神原のヤローか。いっちょまえに眼鏡なんかかけおってからに。いやだにぃ。わしゃーそがいなインテリ男は好かんがじゃー。わしが眼鏡に憧れちゅうんを知っとるに決まっとるきー。
――と言ってるうちにランドマークタワーに着いた。
そう。背ばっかやたらに高いイヤミなビルぢゃ。
「やぁ真人君。」
メガネ男が突然姿を現した。
「来てくれたんだね。嬉しいよ、真人君。これで僕と君はもうお友達だね。」
「なれなれしいぞ貴様！！だいたい俺をマサトと呼ぶな！！俺は泣き虫なんかじゃないんだ！！超者ライディーン パロパロライディーン参照）真人って言ってごまかそうったってそうはいかんぞ！」
「じゃぁ、しんじんくん。」
「貴様、何様のつもりだ！？貴様のくせに俺様気分でこのヨコハマの地を踏むんじゃない！！ナメとんのか、メンチきってんじゃねーぞワレー！！」
「なによ、まっと君。」
「俺はまじんだ」
「俺ハマジンダ？」
「そうだ、ハマジンだ。」
「ところで用件なんだけど。」
「ようかん？それは有り難い。頂こう。メーカーはとらやが良いな。」
「エスキモーはどこにいるの？」
「貴様、小学校で何習ってきたのだ。」
「モノポリー。」
「エスキモーは一丁目の奥のどんぐり山の林の奥に住んでいるものだ。これ世界の常識。」
「ありがとう、ハマジン。」
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